中国の不正ラバー問題とは~長く根深い卓球界の問題~[補助剤問題]

オリンピック
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不正ラバー問題とは。

不正ラバー問題とは、ラバーに塗ると弾みや回転が増す、いわゆる「補助剤」を塗る行為(ルール違反)が横行しているという問題です。

そして、オリンピックがあるごとに「中国が違反してる、中国が、中国が悪い」と言われています。

はっきり言います。中国が悪いわけではありません。悪いのは曖昧で不合理なルールを定め、それを改正しない国際卓球連盟です。

では、なぜ中国が悪いわけでは無いのか。根拠をもって説明します。

補助剤(ブースター)とは

補助剤

まず、そもそも補助剤とは、先ほども言ったように、「ラバーに塗ると弾みと回転が上がり、打球感が良くなる」というもので、↑の画像のようなものです。

*厳密には、上の紫のボトルは補助剤ではなくスピードグルーと呼ばれるものです。

塗るデメリット?ありません。
しいて言えば交換する頻度が上がるくらい。でもプロ選手にとってはそんなことは関係ありません。

 

そもそも市販のラバーはこういう感じで、平らなものです。

少なくとも、私を含めた一般人が、卓球ショップで購入するラバーはこのように平らです。

これにこんな怪しい液体を塗ると・・・

補助剤

補助剤を塗られたラバー

こうなります。ぐりーーんと反り返ります。

軽く原理を説明すると、補助剤を塗ったスポンジ(画像でいうとクリーム色の部分)が膨張してこうなります。

そして、これをラケットに貼って打つと、いつもよりも明らかに弾んで、回転もかかるんですね。

問題のルール[後加工禁止]

塗れば弾みと回転が上がる?じゃあみんな塗ればいいじゃん。

と思うのですが、そうはいきません。ここで問題となるのが、国際卓球連盟が定めている、
「ラバーに後加工することを禁ずる」というルールです。

補助剤問題では、「選手がラバーに補助剤を塗るなよ」というルールだと置き換えて考えてもらって問題ありません。

なので、選手が自分で補助剤を塗って試合に出るとルール違反なんですね。

で、中国不正ラバー問題というのは、中国がこれをやってる!という指摘です。

が、中国が不正ラバーを使っているという表現には大きな語弊があります

その理由は↓の2つで

1.「選手が」塗らなければ違反ではない
2.世界各国どこでもやってる(日本含む)

ということです。

では、それぞれ深堀りしていきます。

「選手が」補助剤を塗らなければ違反ではない

さきほど、「選手が」塗ることがルール違反だといいましたが、逆に言うと選手以外が塗るのは違反ではありません

正確に言うと、「選手が」という表現は正しくなくて、「メーカー以外が」とするのが正しいですが、ここでは「選手が」とします。
(選手以外でも、例えば監督が塗るのもアウトです。後加工に当たります。)

 

さて、ルールをもう一度確認しましょう。ルールでは、ラバーへの「後加工」が禁止されています。「補助剤を禁止」なんて文言は一切ありません。

メーカーが塗ればセーフ

何が言いたいか。

メーカーが塗ればセーフなんです。

例えば先ほども上げたこの画像。

補助剤を塗られたラバー

これは私自身が試しで塗ったもので、立派な「後加工」に当たるため、もしこれをラケットに貼って試合に出れば完全に「ルール違反」です。

ですが、もしこれをメーカーが塗ってたら?セーフなんですね。

選手は塗られたラバーを合法的に使える

私を含めた一般人はメーカーとのつながりなんてなかなかありませんしそんなこと出来ませんが、
メーカーとつながりのある、メーカーと仲の良い選手であれば、
メーカーに塗ってもらうことで合法的に補助剤が塗られたラバーを使うことが出来ます

言ってしまえば、オリンピックに出ている選手はほとんどがメーカー契約選手です。うん、出来ますね。
*もちろん、オリンピックに出ている選手全員が塗られたラバーを使っていると言いたいわけではありません。理論的には合法に出来ちゃうよね。ということです。

 

つまり、メーカーが塗ってればセーフなんだから、
補助剤が塗られたラバーを使ってる=その選手がルール違反をしている
ということにはなりません

中国選手。まぁ、塗られたラバー使ってます。これはほぼ間違いない。証拠はないけど、ラケット表面見りゃ分かる人は分かる。

ただ、だからと言って中国選手がルール違反しているということにはなりません。メーカーが塗ってるかもしれない。

 

ちなみにですが、市販で普通に変えるラバーにも、少しではありますが補助剤がもともと塗られています。日本選手を含め、世界のトップ選手ほとんどが使っているテナジーやディグニクスというラバーも、もともと塗ってあります。

ここから考えても、ルール上、メーカーが塗るのは問題ないんです。

世界各国どこでも塗ってる[日本含む]

「中国の不正ラバー問題」という表現に語弊があるという2つ目の理由として、
もはや世界各国どこの代表でも塗ってます

上でも書いたように、それがメーカーが塗ってるから違反じゃないのか、個人が塗ってるから違反なのかというのはその選手によって違うとは思いますが、もはやどの国の選手も塗ってます。

日本選手も塗ってる人は塗ってます

「いや日本はフェアプレーの精神で塗ってないから!!」という方。
いや、塗ってます。正確には、塗られたラバーは間違いなく使ってます。
正確に「誰が」、という部分は個人への攻撃になりかねないので書きません。当然証拠もありませんので。

ただ、先ほども言ったように、塗ったのがメーカーであればルール上なんの問題も無いわけです。

だから、日本選手も「メーカーが塗ったラバー」を使っているのであれば、なんら問題ありません。だから、「日本選手がルール違反をしている」とは言いません。

ただ、日本の選手も「塗られたラバー」を使っているのは間違いありません
日本選手全員がもれなく使っている!とはいいません。一方、ラバーを見ると確実に使ってるな~という選手は実際に複数人います。
そして、それがメーカーが塗っているものなのか、選手自身が塗っているものなのかは知りませんし、誰にも分かりません。

ラケット表面を見ると、明らかに市販のものよりも塗られたラバーを使っている日本選手も普通にいます。「普通に」います。

これは日本選手のものではありませんが、ラケットの端に注目してください。

端が少し浮いてるのが分かりますでしょうか。この画像だとラケットの先端なんかは明らかですね。こうなってると、塗られたラバーということです。

言ってしまえば、日本選手でもこうなってる選手、結構いますよ。注目してみると面白いかも。

 

 

結局何が言いたいか。日本も塗ってます。それがルール違反かどうかは本人くらいしか分からないけど。

中国も同じく、ルール違反かどうかは分かりません。メーカーが塗ってるかもしれないんだから。

「世界の不正ラバー問題」とするならまだしも、「中国の不正ラバー問題」とするのは、中国に対する偏見が過ぎます。

じゃあ誰が悪い:国際卓球連盟

ここからは完全な私見です。

不正ラバー問題、誰が悪いか。国際卓球連盟(ITTF)です。

そもそもこの「後加工禁止」ルールを作っているのは国際卓球連盟です。

なぜこんな曖昧なルールにしたのか。それは、「補助剤」を禁止とすると、「補助剤ではない、補助剤と同じ効果を得るもの」が出てきて、いたちごっこになるからでしょう。

実際、本物の補助剤じゃなくても、身の回りもので補助剤と似た効果を得られる、いわゆる「代替品」もあります。

でも、こんな曖昧なルールだから、不正ラバー問題は横行するんです。

早くルールを変えるべき

じゃあどうすべきか。
早くルールを変えるべき。

具体的には、もう補助剤を解禁してしまうのが一番手っ取り早いでしょう。
もしくはメーカーが塗るのも含めて補助剤全面禁止か。

でも全面禁止となると、検査が難しくて結局塗る人が出てくるという問題もありますし、結局解禁するしかないでしょう。

「人体に著しく悪影響を及ぼす物質(ヘキサン、トルエンとか)は禁止。それ以外は全面OK」というのが妥当でしょう。この禁止物質をどれにするかは議論の必要があると思いますが。

結論:中国が悪いというのは偏見が過ぎる

結論として、中国が悪いというのは偏見が過ぎます

「補助剤が塗られたラバー」を使っていても、「メーカーが補助剤を塗っている」のであれば、ルール上何ら問題はありません。

中国を含めた世界全体(日本も含む)が「補助剤が塗られたラバー」を使っているのは、もはや事実です。証拠はありませんが。

しかし、だからといってルール違反とは言えないのです。

誰が悪いか。こんな曖昧なルールを定め、それを一向に改正しようとしない国際卓球連盟です。

 

一応言っておくと、中国という国の政策とかを含めて中国は良い国だ、などと言っているのではありません。さらに、もちろん中国が悪い国だ、などという趣旨でもありません。あくまで、卓球界のこの問題について、中国の卓球選手が悪いわけでは無いという主張です。

中国の卓球選手、紳士な選手多いですよ。エッジで入ったことを自分で認めたりとか。

 

本記事は以上です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

記事内で紹介した「身近な代替品」を解説した記事なんかもありますので、よろしければ↓からご覧ください。

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