今回は、弾みが上がるだのなんだのと言われる、接着剤を厚塗りした際の本当の効果についてお話しします。
まず、確実にお伝えしたいことが、厚塗りしてもそんなに変わりません。
残念ながら、厚塗りに劇的な効果はありません。厚塗りが性能に一定の影響を及ぼすのは確かですが、人間が感じられるがどうか微妙なくらいの変化です。
ここから厚塗りの詳しい効果についてお話ししますが、その変化は超微妙なものであるという前提でご覧ください。
厚塗りの効果[スポンジが厚くなるのと同じ]
では、厚塗りの効果についてです。
一言で言うと、厚塗りをすると、スポンジが厚くなるのと同じ効果が得られます。
具体的には、
- 飛距離が上がる
- 食い込みが良くなる(打球感が柔らかくなる)
- 振り切ったときの回転、スピードが上がる
などの効果があります。
イメージとしては、厚塗りをするとその接着層の厚さ分がスポンジの厚さに追加されると考えてください。
もともとスポンジの厚さが2.1mmのラバーに、厚塗りで0.1mmの接着層をつけると、厚さ2.2mmのラバーに変わるということです。
厳密にそうなるというわけではありませんが、あくまでイメージとしてはこんな感じです。
スポンジの厚さが及ぼす影響についてはラバーの厚さが及ぼす影響とそれぞれのメリットデメリットを解説に書いているので、詳しくはこちらをご覧ください。

厚塗りをする際の注意点
次に、厚塗りをする際に気を付けていただきたい点をご紹介します。
厚塗りの注意点は次の通りです。
・接着剤はファインジップで
・一回塗るごとにしっかり乾かす
・なるべく薄く何度も重ね塗りする
・4mmを越えないようにする
厚塗りするならファインジップ
まず、厚塗りをするなら接着剤はファインジップ一択です。
ファインジップは他の接着剤よりも濃く、接着層の膜が圧倒的にたまりやすいです。いわゆるドロドロ系の接着剤です。
厚塗りで大事なのは接着層の厚さなので、少しでも厚く出来るファインジップがおすすめです。
というより、ファインジップ以外での厚塗りはほとんど意味がありません。
厳密に言うと全く意味がないわけではありませんが、そもそも効果が薄い厚塗りを、効果が薄い接着剤でやっても効果はほとんど得られません。
ファインジップで厚塗りをしても、その効果は感じられるかどうかくらいの微妙な差なので、他の接着剤でやって感じられる人なんてまぁほとんどいないでしょう。
なので、「試しに今持っているラテグルーでやってみよう!」などは残念ながら無駄に接着剤を使うに等しい行為なのでやめましょう。
ファインジップ以外で厚塗りをするメリットがあるとすれば、接着力が増してはがれにくくなるくらいです。それを求めるならやってもいいですが。
一回塗るごとにしっかり乾かす
厚塗りの際も、接着剤は一回塗るごとに完全に乾かしてから重ね塗りをするようにしてください。
厚塗りじゃなく普通に貼る場合もそうですが、接着剤は本当にしっかりと乾かしましょう。
生乾きの状態でラケットに貼ったり重ね塗りをしてしまうと、ラバーの性能が100%発揮されません!
特に、打球感がべちゃべちゃになってしまいます。吉村真晴選手によると、「ガトーショコラ」みたいな打球感だそう。(笑)
厚塗りでそれをしてしまうと、性能を上げたくて厚塗りしているのに結果として性能を下げてしまうという本末転倒になります。
そうならないためにも、本当によく乾かすようにしてください。
乾かす時間:1時間ずつ
乾かす時間の目安ですが、自然乾燥であれば、1回ごとに1時間は乾かしたいところです。
一般に言われる時間よりも長いと思いますが、これくらいは乾かしたいですね。
よく、15分くらいで貼っている方を見かけますが、それはかなりの確率で生乾きです。接着層の表面だけが乾いて中はまだという状態が想像されます。
まず、ファインジップは他の接着剤より乾きにくいです。他よりも接着層が厚くなるので、中まで乾くのに時間がかかるのです。
料理で肉を焼くときに、厚い肉のほうが中まで火を通すのに時間がかかるのと同じです。
なので他の接着剤よりも時間は長くしたいのですが、ここで参考にするのがトップ選手の乾かす時間です。
それぞれ自然乾燥で、水谷選手は1時間、ボル選手はなんと2時間乾かしているようです。
しかも、彼らはbutterflyのフリーチャックを使っており、ファインジップよりも乾きやすいにも関わらずこの時間です。
15分が乾かす時間としていかに短すぎるかがわかるでしょう。
なるべく薄く重ね塗りする
厚塗りをする際は、なるべく薄く何回も塗るようにしてください。
一回の量で厚くするのではなく、塗る回数で厚くするのです。
その理由は、先ほども少し書きましたが、厚く塗ると膜の表面だけ乾いて中心が乾きにくいからです。
薄く4回とか5回で、合計値として厚塗りにするのです。
4mmを超えないようにする
そもそも卓球のルールで、ラバーの厚さは4.0mmを超えてはならないとなっています。
この4mmの中には、接着層の厚さも含まれます。というより、ラケット検査のときに接着層の厚さを含んで検査するしかないため、否が応でも含まれます。
そして、厚塗りをしすぎると4mmを越えてしまう場合があります。
特に、特厚のラバーに何度も厚塗りすると意外と簡単に超えてしまいます。
あくまで目安ですが、紅双喜のキョウヒョウneo3(スポンジ2.2mm)に薄く5回でギリギリかなというレベルでした。
ラケット検査が行われる大会なんて全国大会などの大規模な大会だけですが、実際に4mmを超えてそのラケットが使えなかったということもあるようなので、注意しておきましょう。
まとめ
まず、接着剤の厚塗りは、そもそも人が効果を感じられるか否かくらいの効果しかありません。(重さだけは結構変わる)
そして、その効果とは、スポンジが厚くなるのとほぼ同義です。
- 飛距離が上がる
- 食い込みが良くなる(打球感が柔らかくなる)
- 振り切ったときの回転、スピードが上がる
また、厚塗りをする際は以下のことに注意してください。
- 厚塗りするならファインジップで
- 一回塗るごとにしっかり乾かす!
- なるべく薄く重ね塗りする
- 4mmを越えないようにする
これは個人的な意見ですが、厚塗りは圧倒的にコスパが悪いと思います。
接着剤って割と高いですし、その割に大した効果は得られません。
打球感を柔らかくする方法は他にもありますし、柔らかくしたいならそちら方が良いと思います。

関連記事


